介護制度の基礎知識

~育児介護休業法~

~介護保険~

~お金、調査・統計、リンク集などやその他のお役立ち情報~

基礎知識がなくても、介護支援制度の策定や従業員の相談に対応することはできます。しかし、きちんと法律や関係する情報を理解していないために、実際に運用をはじめてから検討すべき問題点等が出てくる場合も多くあります。

基礎知識が必要な理由 1

基礎知識が必要な理由として、一つの例をご紹介します。
例1)介護休業を取得することができる対象者のルールとして「介護保険で要介護と認定された家族を介護する従業員」とする場合。
→ 法律に違反をしてしまう可能性があります。
次のような理由で、法律に違反となる可能性があります。この例では、対象者を育児介護休業法でいう「介護」ではなく、介護認定等をしている介護保険を活用しようと考えた例です。会社は育児介護休業法を遵守しなければなりません。そして、育児介護休業法と介護保険法の「介護」の定義は次のように違っていることに注意をしてください。

要介護の認定 認定方法
介護保険 身体上または精神上の障害があるために、入浴、排泄、食事などの日常生活に於ける基本的な動作の全部、または一部について、6ヶ月以上の期間にわたり継続して、常時介護を要すると見込まれる状態 市区町村へ介護認定の申請をする
育児介護休業法 負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、連続して2週間以上の期間にわたり、常時介護を必要とする状態 会社へ医師の診断書を提出する

介護保険法の介護は、介護が必要な状態(介護状態の重度)を判断するには従業員に有利になりますが、逆に介護を必要する期間を判断するには従業員が不利になる場合があります。例えば、対象となる高齢家族が脊椎の圧迫骨折をして最低1ヶ月間、寝たきりで寝返りもできず、ベットから起き上がれない状態だった場合で考えて見ましょう。介護保険は、6ヶ月以上の期間にわたり継続して、一定の介護が必要な場合に認定されます。この例の場合は寝たきりが1ヶ月程度で、その後は介護が必要ない場合は介護保険の介護認定がされません。しかし、育児介護休業法では、連続して2週間にわたり、常時介護が必要な場合は介護休業をとることができます。

このように、安易に介護休業を取得することができる従業員を「介護保険の認定を受けた家族を介護する従業員」と限定してしまうと、短期間に常時介護が必要な状態となった家族が対象外になってしまいます。法律等の知識がないと、法律に違反する運用ルールを作ってしまう場合があるので注意が必要です。

しかし、ここではもうひとつ気をつける点があります。会社が育児介護休業法でいう「負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、連続して2週間以上の期間に亘り「常時介護を必要とする状態」 」を認定することも大変難しいことです。そこで、運用を想定したルールを作る必要もあります。

基礎知識が必要な理由 2

基礎知識が必要な理由として、もう一つ例をご紹介します。
例2)病院に入院中の末期がんの父を「介護」するための介護休業をしたい。
→ 会社は介護休業を与えなくてもよいかもしれない。
介護休業の対象者は「要介護状態にある対象家族を介護する労働者」です。この例では、お父さんは「要介護状態にある」という点では、末期がんであり常時介護を必要となる場合になるかもしれません。しかし、お父さんは病院に入院中のため、日常生活の「介護」も、病気のために「看護」も、基本的に看護師さん等がやってくれます。従業員本人は介護をするにあたるでしょうか?

例えば、このお父さんを自宅で介護と看護をする場合は「要介護状態にある対象家族を介護する労働者」になるはずです。このように基礎知識を知らないとこの例の場合にも介護休業を与えるかもしれません。しかし、従業員に法律以上の有利なルールを決めることは問題ありません。そのときに気をつけることは従業員に不平等感を生まないルールづくりです。例えば、今回のように病院に入院中の末期がんのお父さんに介護休業を認めるのであれば、奥さんやお子さんがガンのために入院している場合に「介護休業」を取得させますか?

「介護」ではいろいろなケースがあります。そして、会社も従業員も基礎知識が少ない場合も多くみられます。このように基礎知識は法律のほか、さまざまなケースを想定するための知識を得ることは、従業員に不平等感を生まないルールづくりに役立ちます。

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